お父さんは首を振ると、いつもの優しいお父さんの顔になって、


“お母さんには、優季が必要なんだ。

お前がいるだけで、お母さんは幸せになれる…それはお前にも言えることなんだよ。

だから戻るんだ、お母さんとお前の大切な人のところに…”


そう言うと、お父さんは赤ん坊を両手で高い高いをするように高く上げた。


それはまるで『赤ん坊のことは自分に任せておけ』と言わんばかりに。


“まだ、ここに来るのはお前には早すぎる。いつかきっとまた会えるから…”


その言葉を私の心の中に残して、お父さんと赤ん坊はは消えてしまった。