オーナーは首を振ると、
『お前の気持ちもわからないでもない。俺だって、洋子が実の母親に同じことを言われたら、恐らく黙っていないだろう。
でも、社長が優季ちゃんへの言動が、本心だったのなら、今ここには来なかったはずだ。
きっと何か理由がある…俺はそう信じたい。』
社長が入ってすぐに、洋子さんが俺とオーナーにも入るように手招きをした。
社長は、ICUで眠る優季の髪にそっと触れると、
『ごめんね、優季…』
社長が優季に心から詫び、涙する姿は嘘偽りのないものだということは痛いくらいに伝わってきた。
今ここにいるのは、
社長・宮園季実子ではなく、年頃の娘を持ったひとりの母親でしかなかった。

