『社長が鬼母でないことを願うしかないわね。』
洋子さんはそう言うと、フッと息を吐いた。
ICUにいる優季を見に行くと、先程とと変わらぬ様子で、昏々と眠り続けていた。
『早く意識が回復してくれるといいんだけど…』
洋子さんの厳しい表情で、深刻な状況であるということが痛いほどに伝わってきた。
ICUにいられるのはたとえ身内であろうとも10分が限度。
優季に何もしてあげられない自分に苛立ちを覚えていた。
タタタタタ…
誰かが救命救急センターの入口から、廊下を走ってこちらに向かって来る足音が聞こえた。
恐らく…

