『社長、お忙しいところ申し訳ありません、大至急桜ヶ丘総合病院まで来ていただきたいのですが…』
オーナーの言葉に社長は、フフッと笑うと、
《あら、何の冗談かしら?もしかして、透、入院したの?》
どうやら本気とは思っていないようだ。
『いえ、入院したのは私ではありません。あなたの娘…野島優季さんです。
医師の話では、肺炎を起こして、かなり危険な状態で、今夜が峠だそうです。』
《……ッ》
社長の息を呑む音が聞こえた。
でもすぐに、ガタガタッという激しい音がしたかと思うと、
プツン…
ツーツーツー…
電話が切れた。

