沈黙を子虎の持っていたエロ本が彼女の頭で素晴らしい音を奏でた。

「いったい!!なにすんのよ!!」

彼女の涙はひっこんでしまった。

「子虎、いくらなんでも殴ること・・・」

「お前さ、なんか勘違いしてないか?」

「えっ??」
彼女は眼を丸くして子虎の顔を覗き込む。

そしてまた若干赤くなる。

「お前は死のうとしたけどさ、じゃあ死ぬほど努力したのか?
お前はもう将来あきらめたみたいだけど、死ぬほど努力して、
それでもだめだったって思ってから死んでも遅くないんじゃないか?」


「でも・・・」彼女はうつむいた。

「死ぬほど努力もしてねえのに何で死のうとすんだと。
楽な道選んでんじゃんねえ!
楽な上に最低で親不孝な道選んでんじゃなねえ!」


「あんたにはわかんないのよ!そんな顔のあんたには!」

「ああ、お前の気持ちなんてわかりたくないな。
お前を頑張って痛み耐え十月十日抱えて世に送り込んでくれた母ちゃんの気持ち考えないお前の気持ちなんてわかりたくねえ。そんな死にたいなら親孝行の一つや二つでもしてから死ね!」


「でも、私はお父さんが会社を首になったから・・・・」

鼻まで出てきてしまった彼女。


「好きでリストラされる人間はいねえ。
お前が今度はおとうちゃんや母ちゃん支えてやりゃあいいだろ。
これは卑屈になってるお前に神様が与えた試練なんだ。
生きろよ、ちゃんと前向いて。」

「でも・・・・」雨が降っているみたいだった、彼女の上だけ。

「世の中不幸なやつなんていっくらでもいる。
ましてや親がいないやつなんて多い。
いないほうがマシな親だっている。
お前は親に殴られたことないだろ?」

彼女はぽつりとうなずいた。

「お前は幸せなんだよ。十分すぎるくらい。それでちょっと甘えてるだけだ。」

「あああああああああん・・・わああああああああん」大きな声で鳴き始めた。

オレはメイちゃんを思い出した。「となりのトトロ」だ。