愛憎友達

「あの……、矢野くん?」

「ん?」

自分の顔がほころんでいることに気づき、とっさに顔を元に戻す。

そして、いつまでも離れない和飛の体をバシバシと叩きながら訊いた。

「……いつまで抱きついてるんですか」

「できれば一生」

少しだけ抱きしめる力が強くなる。

耳に和飛の吐息がかかる。

「またそういうバカなことを……。何で抱きつくのよ」

心臓の鼓動が早くなっていく。

普段気にしない呼吸が気になってきた。