「…松崎?かん…すけ?何だそれ?」

『何で中山あたしのダーリンのフルネーム知ってるんだろう。ま、いっか。じゃ、よろしく』

プープーと無機質な電子音が流れる。

…ヨンミと中山、この二人普段はどんな会話してんだろう…。

恋話?

想像したら寒気がした。

手にした煙草がもう根元まで燃えている。

それを灰皿に入れていると、いつの間にかミサキが寝袋から這い出てきていた。

「うっす。ね、喉かわかない?」

「お?…おぉ」

なんとなく並んで歩く展望台への短い道のり。

振られたばかりの俺には少し寂しく映るこの風景。

いつかこれもいい思い出になるんだろうか…。