楽園の姫君



嬉しくない、といったら嘘になる。

だって彼は私を孤独から救い出してくれた人なのだから。
私に笑顔を取り戻させてくれた人なのだから。

…嫌な訳がない。




でも、ラナシュが何と言おうと、キースの言ったことは多分本当で。

私と結婚しても、ラナシュは良いことが無いばかりか、悪いことも起こってしまうかもしれなくて。


……それは多分、私が一番分かる。

だって、私を大切に育ててくれた父様も母様も、私が大切だからこそ、私に政略結婚をさせようとしていたのだから。
政略結婚だったら、少なくとも相手と生活レベルや身分がつりあうことになるから。