楽園の姫君



「何を考えているの?」

『ッラナシュ!?………様』

ラナシュの眉間にしわがよった。

「なあに、その[様]って」


聞いたことの無いラナシュの冷たい声にアナリアーナは身をすくめる。
が、そんなアナリアーナにラナシュは更に重ねる。


「ねえアナリ、その敬称、どうしたの?」

『ッ』

「教えて?」

『えと、キースが、ラナシュ……様、を呼び捨てで呼んじゃいけない、って』


ラナシュが黙る。
空気が冷たくなった。 


『あ、あのキースは悪くないの!私に教えてくれただけだから…』

「何を」

『ラナシュ…様、がすごい魔法使いだって…』