そこから先は

「あたし、あんたのそばにいてもいいかなぁ…」



こんな事を言ったのは生まれてこの方初めてだ。



たぶん、もう二度と口にしないだろうな。



自分の顔が熱くなるのを感じた。



「もちろん」



男はあたしの頭に手を置いた。



この手…



やっぱりあったかい。



心の底から安心出来る。



「あたしね、あんたと一緒で中学の先生になったんだよ」



あたしは男の顔をしっかり見ながら言った。



昔からずっと一緒にいるような、懐かしいような感じがした。



「だったら今度はお前が俺を誘拐するか?」



男が笑いながら言った。



「ずーっと人質だよ。あんたみたいに離したりしないからね」


「わかってる」



そう言って男はあたしを抱き締めた。