なんにもされなくて、



ただ危機を感じて、



さっさと逃げれた奴はいいよな。



なんの苦痛もなく、

なんの孤独もなく、

なんの痛みもないんだから。





でも、


そんな奴らに比べて



私達はどうなるの?






さっさと逃げれた奴はいいよな。




なんの悪言も聴かなくて、

なんの悪眼も向けられなくて、

なんの悪夢も視ないんだから。







…でもさ、




逃げれなかった私達は



お前らより苦痛に耐えて、

お前らより孤独を感じて、

お前らより痛みを感じる。




なんなんだ?






お前らより悪言を浴びさせられ、

お前らより悪眼が突き刺さり、

お前らより悪夢が襲ってくる。








この苦しみが…





この哀しみが…





この痛さが…







弱音を吐いて

逃げ失せた



お前らなんかに






わかるのか…?








檻の中から逃げれない。



助けもない。






あるのは…








弱った獣が殺される、




祟高なる儀式会場。








怨みに満ちた


獣の傍に寄り添うは、





魂喰らう、





漆黒の悪魔…










手を差し伸べられ、


永遠の契約を交し、




足元も見えない、



真っ暗闇へ ご案内…。





「さあ…。
おいで……………。」





悪魔の口元は、






ひっそり…













……笑う………。





“モウ 逃ゲラレナイ…”