起きた時には小鳥の囀りが聞こえてくる。

俺の体には布団がかけられており、目の前のテーブルにはサランラップのかけられた皿が置かれてある。

「ふぁあ、よく寝たぜ」

皿の上には、焦げかけの肉とサラダが乗っている。

しかも、時間が立っているから、脂が白くなっているぞ。

誰が作ったのかは容易に想像がつく。

「おいおい、朝から肉を食えっつうのかよ」

食欲をそそる感じであれば、食いたくもなるのだがな。

最初の頃よりは進歩したといっていい。

「何かがちげえ」

俺が手伝わなかったから、嫌がらせでもしているのか?

それとも、俺に元気を出して欲しいという事で作ったのか。

複雑な乙女心によって作られたとしか思えない。

「ち」

手伝わなかった俺も悪いのかもしれねえな。

サランラップを取って見ても、何一つ変わらない。

「食うか」

肉に少しだけかじりつくと、高血圧で殺したいのかというくらい塩辛い。

一気に食っていたら、舌が一瞬で麻痺していただろう。

さらにいえば、脂が回っているので舌触りも最悪に近い部類である。

「肉の味が活かされてねえ」

しかし、腹が減っていれば何でも食える。

今の俺は邪悪な物にだって勝利できるのだ。

涙しながら食い終わった時には、身体に不調をきたすのではないかと思ってしまった。

「ちゃんと手伝わなきゃならねえな」

暴君の横暴を防ごうと再び心に決めた俺であった。

時計は7時を差している。

学校はまだ始まっておらず、遅刻しそうな学生は寝静まっているだろう。

「はあ」

刹那の奴、最後はしょぼくれていたからな。

起きているかどうかは解らないが、様子を見に行ったほうがいいだろう。