第七世界

「あんな事はするなよ」

余計なフリをしたせいで、結局言われる羽目になった。

「俺のハートが許してくれねえ」

「君は馬鹿か」

楓は頭痛でもするのか、頭を抱えている。

「生徒に向かって馬鹿はないだろう」

「黙って見てれば余計な傷は出来なかった」

「こんな傷、屁でもないぜ！」

実際はズキズキ響いて、非常に痛む。

「人が心配してやっているのに。まあ、選択は間違ってなかったかもしれないがな」

「そうだろう？」

「調子に乗るな。これからはもっと慎重に行動するんだ」

「今度からはちっとだけ考えてやるよ」

間髪いれずに楓のボディブローに華麗に決まっている。

「今日は家に帰って反省しとくんだ」

「は、はい、わかりました」

素直に言うことを聞いておこう。

痛い思いはしたくないからな。

「私はまだ用があるから、君は教室に行ったら帰るんだぞ」

「楓もちゃんと自分の家に帰れよな」

今日も家に居候されたら、休まる時がない。

「解っている。毎日、君の家にいってたら迷惑になるからな」

そんな常識を持った事がないだろう。

一人頷いているところ、今度は右フックで首が一回転したような感覚に襲われた。

「気をつけて帰れよ」

パンチドランカーになる寸前で、職員室から脱出する。

「海江田よりひでえ」

何度も気が遠くなりそうになったが忍耐力で教室に移動する。

鞄は教室にあった。

保健室にあれば、もっと楽に下校出来たんだけどな。

保健室といえば、佳那美のことを思い出す。

「もう起きてるだろう」

もう一度、佳那美の様子を伺うべく、保健室に向かった。