やぁ、君かい?僕に話を聞いて欲しいっていうのは。
 どこで僕のことを聞いたか知らないけど、まぁ、恐らくは君の期待に応えられると思うよ。
 世間の注目を浴びたいんだろう?
 ん?何故知ってるって?
 僕のところに来るのはそんな人間ばかりだからさ。
 で、君は何をしようと考えてるのかな?
 ああ、町に出て殺せるだけの人間を殺す━━。なるほどね。
 ありきたりなパターンだ。
 ああ、ごめん。バカにしたわけじゃないんだ。怒らないでくれよ。
 ん?一人殺せば殺人者だが、何百万人と殺せば征服者になれる?
 ああ、有名な言葉だね。確かにそうだ。その言葉は、実に的を得ている。
 だが、君に数百万人の人間なんて殺せるのかい?
 ナイフや拳銃じゃ、町で殺せる人数なんてせいぜい数十人。それ以上の武器があったって、千人も殺せはしないだろうね。
 劇薬を海に流す?ああ、確かにそれはいい手かも知れない。それなら数百万人の人間が苦しむことになるだろう。死ぬかどうかは別として。
 ああ、ストップ。もういいよ。君がどんな案を出そうと、結局は同じ答えにしか行き着かない。