血まみれピエロ

「私は今度、大きな国へお嫁に行くの。その方の姿は、絵だけでしか見たことがないわ」

楽しそうな笑みを浮かべて、姫君は話します。
しかし、どこか寂しそうな様子でした。


「……で、この旅人風情にどのようなご用件でしょうか?」


青年は首を傾げて、姫君に問いかけました。


「私、この国では自由に城を抜け出せたけど……お嫁に行けば一生籠の鳥。だから、ピエロさんにお願いがあるの」



姫君は、青年の耳元に口を近づけ囁きました。


その時、青年の心臓が跳ね上がるように動きます。


幸い、顔が赤くならなかったのは化粧のおかげでしょうねぇ。