普段とは打ってかわって賑かなグラウンド。
生徒達の声援や場内アナウンス。
今日は年に一度の体育祭の日。
クラスの団結だとか、その日だけは変な仲間意識が芽生える。
青春っぽい汗を流していた。


「蘭~~!
頑張ってね~~!」

「おー。」

クラスの女子から黄色い声援。悪い気はしない。

そこそこに運動神経には自信があるしクラスでも目立つ方の俺は、クラスメートの推薦で今、リレーのアンカーをやらされている。

面倒くせぇと思う反面、
女子からの声援に満更でもない俺。


ピストルの音が鳴って
第一走者が走り出す。
一気に盛り上がるグラウンド。
各々のクラスを応援する声。
「蘭く~ん!」なんて声も聞こえる。
まだ俺走ってないんだけどね。走ってるヤツ応援しろよ。
そう思いながらも一応声のする方に手を振る俺はサービス精神旺盛すぎか、ただの八方美人なのか。

でも、やっぱり
名前を呼んで応援されるのは嬉しいと思う。

普段話したことも無いようなヤツだって、こういう行事の時だけは何故か名前で呼べるようになるもの。


まぁ、
それが自分の意中の女なら、
尚更。

何気に彼女からの声援を期待してる俺。