「そうですがそこには生まれ落ちた時に持ち得た力の強さが関係しますから、力が弱ければ血の影響も弱いんです」






どうやらたいした問題じゃないらしい。





「そーかよ…
で?だからなんなんだ?
それを俺にわからせたかっただけか?」



芹緒は「まっさかー」とか言いながら首を横に振ってみせる。
顔の輪郭を囲う程度の黒髪はこの距離で見ても恐ろしく黒かった。












「浅水さんには僕の仕事のパートナーになっていただきたいんです」


「…は?仕事?」





キーンコーンカーンコー…ン







一時間目の始業ベルにハッとする。

こんな見ず知らずのおかしな奴の話に付き合う必要性なんかどこにもないじゃないか。




「放課後にまた来ますのでその時にでも答えてくだされば…」

「いや、やらね」

「まだ内容もお話してないのに!!」

「どうせオカルトチックな内容だろ?興味ねーよ」





ガンッとショッキングなリアクションをする芹緒に俺は背を向け校舎に向かって歩き出す。

そんな俺の背にかかったのは落ち着いたよく通る芹緒の声だった。