燕と石と、山の鳥

「オッサン達よ…」


俺が芹緒のすぐ背後まで来て声をかけると一斉に表情を強張らせる。
予想通りのリアクションに持ち合わせる落胆などないわとばかりに俺はオッサン達の畏縮する心に話しかける。




「冷やかしとかじゃねぇんだ。
こっちも知らなきゃなんねぇことがある。
場所、教えてくんねぇか?」








畏縮が解れていく。
見た目にもオッサン達は肩の力を抜いた。



この感覚にも少し慣れてきたが、どうすればこれがあの人形に向くのかがわからない。


まぁ、それは置いとこう。

教えてもらったその場所はそんなに遠くではなかったから、オッサン達に礼を言って俺達は駅前を後にした。







「…………なんだ」

「はい?」

「見てんじゃねぇ」


前見て歩け。前見て。


「あ、はい。
やー…紺って確かにちょっと恐持てですけど、狐憑きの影響を受けてなかったらさぞ人に好かれたんじゃないかと」

「は?」

「顔も綺麗ですし」

何言ってんだこいつ。

「綺麗っつったらお前の顔みたいなの言うんだろ?」

「はいっ!?」