燕と石と、山の鳥

ホームに降りると、温い熱気が俺達二人を真綿みたいにやんわりと圧迫した。

人員の改札を抜けて人気のないロータリーを見渡す。
客待ちのはずのタクシーは乗降場所につくでもなく運転手同士世間話を交えながら鳩に餌をやっている。


俺達以外で下車した数える程の乗客達は改札を出るなり各々の目的地へと散って行き、いつまでも留まってるのは駅員やタクシー運転手以外は俺と芹緒だけになっていた。


「さて、それでは聞き込みですね」


芹緒が意気込むように言って鳩と友達のオッサン達の方に歩き出したので、俺も黙ってその後ろについていく。



「すみませーん」


芹緒の透る声にオッサン達はのんびり顔を向け、各自の視覚からのロード時間にしたがって多少の時間差はあったが一様にぎょっとした顔に変わった。

そのリアクションなどものともせず芹緒が新聞に載っていた事件の発見場所を教えて欲しいと言うと、なんのことかすぐに気が付いたオッサンが同僚に「あれだよあのお寺さんの近くの」などと言って記憶の共有をはかる。

しかしあまり話したくなさそうだ。
話題が話題だし、怪しいしな。俺ら。