次の日、圦サンから連絡があって俺はその放課後、芹緒と一緒に坂田サンの葬式の場に赴いた。
「紺にネクタイってとっても不似合いですねぇ」
「俺はまさかお前がんな格好して来やがるとは思わなんだ」
まさかいつもの格好に黒い上着を着てくるだけとはな。
しかも今日の面は痩せ男。
恨めしそうなことこの上ない。
「かしこまった服って僕実家にあるんですよ〜」
「いーから。行くぞ」
いつまでも道行く他人にこの痩せ男の顔したチビをさらしといたら圦サンに迷惑をかけかねない。
小さな家だった。
トタンを壁にした、図画工作の延長のような頼りない作りだった。
白黒の鯨幕が貼られ、白々しい小さな光が近所の家々から漏れる明かりより一段暗く玄関を照らしている。
その玄関の前に置かれた長机の所に、くたびれた喪服に身を包んだ圦サンがいた。
俺達の姿を見ると圦サンは苦笑いのような笑いを浮かべた。
名前を書いて中に入ると、地を這うような経文の声が奥へ続く廊下の向こうから小さく聞こえて来る。
奥の間の襖を開けると、遺影の前で経文を唱える骸骨のように痩せ老いた僧侶を除く、喪服を着た中年以上の男女が、一斉に襖を開けた俺を見た。
そしてその見慣れぬ風体に少し好奇の目を寄越したが、坊主の爺さんの経文につられ、気にしてはいたが顔を正面に戻していった。
「紺にネクタイってとっても不似合いですねぇ」
「俺はまさかお前がんな格好して来やがるとは思わなんだ」
まさかいつもの格好に黒い上着を着てくるだけとはな。
しかも今日の面は痩せ男。
恨めしそうなことこの上ない。
「かしこまった服って僕実家にあるんですよ〜」
「いーから。行くぞ」
いつまでも道行く他人にこの痩せ男の顔したチビをさらしといたら圦サンに迷惑をかけかねない。
小さな家だった。
トタンを壁にした、図画工作の延長のような頼りない作りだった。
白黒の鯨幕が貼られ、白々しい小さな光が近所の家々から漏れる明かりより一段暗く玄関を照らしている。
その玄関の前に置かれた長机の所に、くたびれた喪服に身を包んだ圦サンがいた。
俺達の姿を見ると圦サンは苦笑いのような笑いを浮かべた。
名前を書いて中に入ると、地を這うような経文の声が奥へ続く廊下の向こうから小さく聞こえて来る。
奥の間の襖を開けると、遺影の前で経文を唱える骸骨のように痩せ老いた僧侶を除く、喪服を着た中年以上の男女が、一斉に襖を開けた俺を見た。
そしてその見慣れぬ風体に少し好奇の目を寄越したが、坊主の爺さんの経文につられ、気にしてはいたが顔を正面に戻していった。


