燕と石と、山の鳥

「いやまぁかなり面白かったですけど」


「ほんとに素敵ですよ」と言いながら俺が投げ渡した座布団を敷いてちょこんと座る。
俺は自分のベッドにそのまま座った。

キョロキョロしてる芹緒を観察してるといきなり俺に「なんか僕に付いてます?」と言ってきた。
多少自分の行動が影響してる事について考えてほしい。


「んな珍しいか?俺の部屋」

「あぁ、いえ一般のお家に入る事に慣れてないもんですからなんでも物珍しく思えてしまって」


本当に見えてこねぇな。
こいつの育った環境。


「それに僕は紺のような付き合いの出来る人はいませんでしたから、紺と出会ってからは初めての体験ばかりで」




「………」



ちょいちょいするズレた発言から浮き世離れした世界の人間だとは思ってたし、そんな芹緒に振り回されてる気にはなってたが、なんてことはない、今まで自分とは隔てられた向こうに見てた世界にいきなり関われるようになって戸惑ってるのはこいつも一緒なのか。

立ち位置が変わっただけで、こいつもこいつなりに新しい環境に順応しようとしてるんだって事に、唐突に気が付いた。