燕と石と、山の鳥

「紺は…なんだかよくわかりません」


言えて能面かそうじゃないかくらいの認識を期待したらしい。

それを言ったら俺からすればこいつの妖怪なんかに関する知識もどうなのかと思うんだが。


ま、お家柄ってやつかな。

「で?この後はどうすんだ?」

「そうですねぇー…あ、妹さん、あれからどうですか?」


なんだよ質問返しか。
しかも全然関係ない方向で。


「あ?あー体調なんかは全く問題ないみたいだな。あの夜の事はあんま覚えてなくて夢かなんかだと思ってるみてぇだ」

「僕の事は覚えてそうですかね?」

「いや、全然みたいだな」


つか、そんなん聞いてどうする。
フラグでも立ったのか?ピンク方面の。


「よし、それじゃあ今から紺のお家にお邪魔します」

「なんでそうなる」


流れが意味不明。

奴はといえば「まぁまぁまぁ」とか言いながらもう行く気。
どうもこの短い付き合いの中で俺が流せば流れる事が多いタイプと判断したらしい。
しょーがねーなー。


つか、背中に当たる芹緒の手の小ささに若干びっくりなんだが。
梨里子より華奢なんじゃねえか?こいつ…


パシ…


「…え?あれ?どしたんですか?」

「…………」

「ちょ、ちょっと!なんでいきなり人の手首掴んで戦慄走ったような顔したんですかっ!?え?そのまま行くんですか!?待って下さいよ!なんですかその見なかった事にしようみたいな顔っおーいっ」



なんであの細さで生きてんだこいつ。