燕と石と、山の鳥

立ち去る圦サンを見送ると、すぐに芹緒は「なんですか?」と俺を振り返る。



「お前、コーヒー初めて見たなんてことないよな?」

「失敬な」




だよな。















「飲んだ事がないだけです」

………さいでか。




「ですが…」


と、そこで言葉を切ると再びとっぷりと底を見せないソレを覗き込む。


「…なんだよ」



先を促すと、小面をつけたその顔をゆっくりとこちらに向けてくる。

何となく緊張を感じ、俺は背もたれに乗せていた右腕を下ろす。
















「広告なんかによくあるのはもっとこう、白っぽいですよね?」

「ミルク入れろこのタイムマシン野郎」