圦サンの話では、死んだ坂田 厚(サカタ アツシ)は仕事がうまくいかず、妻に逃げられたあとは男手一つで二人の息子を育てていたそうだ。
しかし妻に逃げられてすぐ仕事はリストラに遭い、その後ようやく入る事のできた会社は倒産、職探しをしながらフリーターのようにバイトでなんとか日銭と息子達の学費を工面していたらしい。
聞いてみると確かに不憫な話で自殺したのもわからんでもないが、やはり二人の息子を残して逝ったあたりが解せない。
圦サンもそこが少し気にかかるらしかった。
と言っても、俺達の今の目的はその坂田の関係者の中の誰かにとり憑いているかもしれない妖怪を見つけ山に還す事。
関係者に会ってみる他はなさそうだった。
まぁとりあえずは、その息子達といったところか。
「圦サン、坂田サンの葬式って…」
「あぁ、一応俺のポケットマネーで最低限のをやってやることにした。
奴さん相当金がなかった上に人身事故は賠償が高くつくからなぁ。
かと言ってやらんっつーのも不憫な話だからなぁ」
「それ、どこでやるんスか?」
俺の問いに圦サンは怪訝そうな顔をする。
その口からたっぷりと煙を吐いてから俺の予想してた通りの返答を返してくる。
「そんなこと聞いてどうすんだ」
「線香。
その…やっぱり関係あっただけに気にかかるっつーか……線香くらいあげてやれたらって…」
俺の言葉を聞いて納得してくれたらしい圦サンは「あぁそーか」と呟きながら穏やかな笑みで煙草を灰皿に押し付けた。
圦サンに本当の事を言わないのは結構良い気がしないがしかたない。
「じゃあ日程が決まったら連絡してやるよ」
「スンマセン」
「なんでスンマセンなんだよ。変な奴だな」
いつものやりとり。
誤解で署に連れて行かれた俺を圦サンが弁護してくれて、帰り際にいつも俺が言うのは「ありがとう」じゃなくって「スンマセン」。
深い意味はないがいつも行く度仕事中断して駆けつけてくれるのをわかってるから自然と頭を下げながら出てくるのは謝罪になってしまう。
それをこの人はいつも笑い飛ばして背中を叩いてくれるのだった。
しかし妻に逃げられてすぐ仕事はリストラに遭い、その後ようやく入る事のできた会社は倒産、職探しをしながらフリーターのようにバイトでなんとか日銭と息子達の学費を工面していたらしい。
聞いてみると確かに不憫な話で自殺したのもわからんでもないが、やはり二人の息子を残して逝ったあたりが解せない。
圦サンもそこが少し気にかかるらしかった。
と言っても、俺達の今の目的はその坂田の関係者の中の誰かにとり憑いているかもしれない妖怪を見つけ山に還す事。
関係者に会ってみる他はなさそうだった。
まぁとりあえずは、その息子達といったところか。
「圦サン、坂田サンの葬式って…」
「あぁ、一応俺のポケットマネーで最低限のをやってやることにした。
奴さん相当金がなかった上に人身事故は賠償が高くつくからなぁ。
かと言ってやらんっつーのも不憫な話だからなぁ」
「それ、どこでやるんスか?」
俺の問いに圦サンは怪訝そうな顔をする。
その口からたっぷりと煙を吐いてから俺の予想してた通りの返答を返してくる。
「そんなこと聞いてどうすんだ」
「線香。
その…やっぱり関係あっただけに気にかかるっつーか……線香くらいあげてやれたらって…」
俺の言葉を聞いて納得してくれたらしい圦サンは「あぁそーか」と呟きながら穏やかな笑みで煙草を灰皿に押し付けた。
圦サンに本当の事を言わないのは結構良い気がしないがしかたない。
「じゃあ日程が決まったら連絡してやるよ」
「スンマセン」
「なんでスンマセンなんだよ。変な奴だな」
いつものやりとり。
誤解で署に連れて行かれた俺を圦サンが弁護してくれて、帰り際にいつも俺が言うのは「ありがとう」じゃなくって「スンマセン」。
深い意味はないがいつも行く度仕事中断して駆けつけてくれるのをわかってるから自然と頭を下げながら出てくるのは謝罪になってしまう。
それをこの人はいつも笑い飛ばして背中を叩いてくれるのだった。


