燕と石と、山の鳥

後日、

俺は芹緒と一緒に圦さんに会いに行った。







「いやぁさすが紺。
警察署に入るの慣れきってますねぇ」






ほっとけ。











「おぅおぅどうした?
お前が自分の意思で署に来るなんて珍しいなぁー」



俺が先日の事でわかっている事を聞きたいと切り出すと、案の定圦さんは渋面を作った。

だよなぁという思いで芹緒を見やると、子面(コオモテ)の面を付けた芹緒がずいと圦さんの前に進み出た。





「刑事さん、紺は巻き込まれた被害者ですよ。
彼には知る権利があるはずです」







その時、
圦さんの目の色がわずか変化するのを俺は見た。
少しの間、二人は互いに目を合わせたまま動かなかった。
やがて圦さんがため息をこぼす。











「まぁ、そうだよな。
ここじゃまずいから、場所を移そう」



「少し出てくるよ」と圦さんが同僚の人に告げている間に芹緒にさっきのことを言ってみると面の下で奴がほほ笑む気配がした。








「ごり押しを通す為に、言霊を使いましたから」

「………使えるのか」



「と言っても僕は紺のように生まれつき身に付いた天性のものではないんですけどね」と笑う。
芹緒曰く、大概のそれらの力は生まれつきなかったものでもあつかえるようにはなるらしい。


まぁ、訓練を積んでみれば生まれつきあったやつの方が圧倒的に力は強いらしいんだが。









戻ってきた圦さんに連れられ、俺達は地元の警察署を後にした。