燕と石と、山の鳥

梨里子の通ってる中学はキリスト教系の女子校で、今は亡き祖母さんが通っていた事からお袋も梨里子もそこに通っているんだそうな。

学校に着くと、下校中の生徒達が物凄い遠巻きに通り過ぎて行く。
くそー…いたたまれない…。







「お兄っ!」






学校の臙脂と黒の制服に身を包んだ梨里子が走って来るのを見て少しホッとする。
周りが信じられない光景を見る顔で梨里子と俺を交互に見ているが、知るか。




「ただでさえ怖がられるくせにこんなとこ立ってたら下手したら通報されちゃうよ!」

「うるせー」


真面目な顔で心配すんな畜生。



「警察の人に説明に行くの恥ずかしいんだからね!」



そっちかよ!
つかそれは俺のせいじゃねぇ!




「…はぁ、帰っぞ」

「あ、待って。
商店街寄ってこ」


買わなきゃなんないものあるの、とかなんとか言いつつ俺のワイシャツの裾を引く。

どうせ予定もない。


ため息混じりに梨里子の頭にポンと手を置くと、「子供扱いしないでー」と手を払われた。