燕と石と、山の鳥

不良だなんだと言われていたって、俺自身は腕っ節が他より少し強いだけのわりと真面目な生徒だ。




多分出席率は真面目だけど病弱なタイプの奴より良いだろう。


ただ教師は皆俺を授業中当てようとしないからその俺の真面目さがクラスの奴らに知られる事はない。
残念ながら。






俺は今日も一つの授業も欠かす事なく出席して行く。

そんな勤勉な俺を食い物にするあんちくしょうが一人。




「あーさみんっ!
ノート見ーせーてっ」


俺の前の席から180度向きを変えて満面の笑みを向けるホスト……みたいな顔のクラスメート。

俺を怖がらない人間その2。
白草 理人(シロクサ リヒト)はその軽薄な態度と女受けの良いルックスで器用に生きる幼稚園からの腐れ縁だ。

俺の予習したノートがちゃんとしてるから奴はいつもなんの準備のない状態で授業中当てられても涼しい顔で答え、教師にも一目置かれている。


『ちゃらちゃらしているようで勉強はしている』


まぁ当然テストなんかは関係ないんだが。





「………なぁ」

「んー?だぁいじょーぶだってどーせお前は指されねぇから…」

「うるせーよ。
おい、そうじゃなくてよ、ここ最近の連続殺人よ、あれ何なんだ?」



「何なんだって言われても俺被害者でも犯人でもないよ浅水ー」とか言いつつ俺のノートと自分の何も書かれていない古典のノートを取り替える。