「美人な妹さんですね」

「…は?」

「よく用心してあげて下さいね」






妙な言い回しに思わずドアの前で振り返ると、芹緒はもうそこから姿を消していて、屋上に立っていたのは俺だけだった。















「ねぇ、朝の小さい子、浅水くんの知ってる子?」


相模の声に我に返ると、相模がわざわざ俺の机の前まで来て首を傾げていた。





「……ん、多分な。
俺の事一方的に知ってたらしくって言ったら自分で帰ってったよ」




まさか"消えた"なんて言えない。




相模は「そうなんだっ変わった格好の子だったよねっ」などと言いながらニコッと双眸を崩す。

あまりに眩しい微笑みに後光が見える。







にしても……




芹緒の言った変な台詞のせいで少し梨里子の事が気にかかる。



放課後になったら、電話でもしてみるか……