4月。
温かな風とともに、風の優しいメロディーの聞こえる季節。
そして新しい学年、恋も順調。
すべてが色美しく鮮やかに見れる季節。

・・・だったはず。

しかし、今の私にはそんなことができるわけがない。
今の私は・・・・。


水田さおり。16歳。族にいる。
昼と夜が反対の毎日。
それが当たり前。
両親はこんな私に呆れていた。

以前の私はコンなんじゃなかった。
しかも自分でもアレはカッコ悪い。
自分の住んでいる世界とは違う。
あの人たちは学校に行かないなんて・・・。
学校はみんなが絶対楽しみにしているところ。

・・・そう思っていたのに、族に入ると
カッコいいって思ってしまう。
特攻服はまださすがに着れないくらいの位
だが、先輩とならうまく付き合える。
タバコだってすえる。

暇さえあればヤっている。
そんな毎日で春の大好きだった私はもうどこにもいない。
学校に行くのが楽しかったのも。

「変わったね。」
そういわれるのが怖かったのかもしれない。
やっぱり今の自分ではダメだと思う気持ちが
心の1%にはあったのかもしれない。

髪の色を脱色させ、金色を所々入れた髪の毛。
以前は傷んでいた髪の毛は抜いていちいち
手入れはしていた自分。
今は傷んでいようがそれは当たり前。
そして先輩に切ってもらう。

服装はジャージかスウェット。
それにキティッパで歩く。
今日もいつもの場所でたむろしているつもりだった。