テーブルにつき新聞を読んでいた父が、おかえり、と笑いかける。

それにも笑い返して階段を上がり、自分の部屋へと向かう。


震える手で扉を開ける。
ベットに倒れこむ。

心臓が騒ぎ、胸が苦しい。
心に広がるのは
恐怖と、安心感。

対照的なそのふたつの感情が、今日も衝突しあい、弾けている。


「ご飯よ」

扉の向こうで母の声が聞こえ、ビクリと肩が反応する。

私は慌てて制服から着替え、母が階段を降りていく音を確認し、ゆっくりと扉を開けた。