放課後、私はまた、進路室に向かっていた。 見えない何かに誘われるようにして、足がそこへと向かう。 戸をノックすると、中から 「はーい」 と、元気のよい声が聞こえた。 その声に、首を傾げる。 水曜日の担当は、厚津山という御爺ちゃん先生のはず。 怪訝に思いながらも戸を開けると、少年のような笑顔が視界に入った。 「あれ、真柴じゃん」 くだけた口調でそう言った相手は、横山比呂だった。