一族に伝わる秘伝の香水、とか...

鼻を近付けて匂いを嗅いでみる。

なんの匂いだろ...?



「これ、なんの香りなんですか?」

「ふふ...つけてみればわかりますわ。
 私が付けて差し上げますね」

「あ、ありがとうございますっ」



受け取った香水をロメリアさんに手渡す。

ロメリアさんに香水つけてもらうとか...ぐふふ。

あたしってなんて幸せなん...っ!?


ーーーガシャンッ


ガラスが割れる音がした。

途端に香り立つ人工的な香り。


「ろ、ロメリア...さん...?」

「......」


足元の割れた小瓶から視線を上げると...

ーーー冷徹な、ヴァイオレット。



「どうして避けるのですか?
 とても、良い香りなんですよ」


ーーー「アイツには気を付けて」



アカシアの言葉が蘇って、思わず後退りする。