甘い香り




そのときから、あたしはこれから1人で生きてかなきゃいけないって知った。

だから葬式は泣かなかった。

ただ、それだけのこと。



「お前が成長して行く間、目に光が無くなっていくのを見ていた。
 俺はそれを止めたかった」

「……アスターには、関係ないことなのに?」

「ふ…覚えていないなら、仕方ないな」

「え、何が?」



あんまり聞こえなかったから体を寄せた。

布越しに伝わる体温。

少し低めのそれが心地よかった。



「何でもない。
 そろそろ寝るか」

「んー、りょーかい」



ふかふかのベッドに潜り込む。

まだ何か聞かなきゃいけなかった気がするんだけど…あ!

寝返りをうって、アスターと向き合う。