「…加藤さんって…本当に交通事故だったの?」
「えっ、根源からどうしたのよ高村さん…」
首を捻る高村を置いておき、俺はがしゃがしゃと自分の髪を掻き。
「わぁーったよ!!やりゃー良いんだろ、やりゃー!」
「おっ!さすが玖珂っち♪男前だよ!!」
(ていうか、男前って何やっても格好良いのね…)
解りきっている事実に溜め息を吐く菊花だが、これから加藤さんには男前になってもらわなくちゃ。
「どういうことだ地味女」
「ちょっと呼び名が戻ってる。私は"高村菊花"だってば!」
「コイツをどう格好良くするんだ?いくら陰陽師だろうが魑魅魍魎の主だろうが実体のないものには触れないんだぞ?」
チッチッチ——…
菊花は鞄の中から——水晶で出来た数珠を取り出したのだ。
「…オイ、陰陽師気取りかよ」
「私はそんな大層な存在じゃないんで。片手が使えないから、これで力を補充するの」
「え、えええ?」
私は右手に数珠を掛け、空中に《水の陣》を切った。
「ちょ、お前何してんだ?!」
「——我に仕えし川の怪・魍魎の力を解き放て」
と、その瞬間だった。加藤の周りに結界が張られ、まるで水槽の中に閉じ込められていた。
その中に大量の水が押し寄せてくるのだ——現実じゃ考えられない光景、だがその水からは微かな霊力を感じた。
しかし、高村の体に霊力は毒なのではないかのか…?

