魑魅魍魎の菊




「ぐっ…———体が?!動かない!」

「ハイハーイ、玖珂君もキチンと協力する」


私は"影"を使いながら、玖珂君を元の席に座らせる。こういう時にこの能力は便利だから良いねー。生憎彼はトラウマになったかもしれないけどね。



「な、何でだよ?!」

「第一、玖珂君は《小泉 雛》先輩を振った理由が《背後霊の加藤さん》でもあるから、この件を解決する義務がある」

「は、はあ?!」

…残念なことに正論だから言い返しが出来ない正影。この世に正論ほど強い物はないのだ。

「第二、玖珂君が格好良過ぎて加藤さん不憫だから」

「オイ、最後恨みが込められてねぇか?!」

「気のせいじゃないの?ねぇー加藤さん♪」

「ねぇ〜高村さん♪」



悪者特有の笑みでこちらを見下ろすあの女、いつか必ず滅してやると心の奥底で誓った日なのであった。











《加藤 克》カトウ スグル


歳は25歳 生前は駅前の書店店員。

死亡原因:交通事故。

前科無し




「…なんつー面白みの無い人生」

「最低だよ玖珂っち!俺だって普通の生活を全うに生きてただけだし!」

「…にしても、生きている間でさえ彼女が居なかっただなんて悲しいな」

「哀愁を帯びた目で加藤さんを見ないであげてよ玖珂君!」



菊花は痛む腕を摩りながら、加藤から聞き出したものを整理して考えた。