「俺は陰陽師の玖珂正影だ。——貴様には少々"地獄"を見てもらうぞ」




あの地味女が自分の名を言おうとした瞬間、俺は《鳳》から放たれている炎を鏡子の持つ鏡の中に入れた。


「な、何?!」



「今ここで滅するぞ!





——万華鏡・地獄咲き!!!」




その瞬間、菊花の視界には信じられない世界が広がって体が震えるのだ。そして、自分の精神が壊されないか心配になった。


——目の間に広がるのは、炎とこの町内と自分が限りなく映された万華鏡世界。




一歩も動き出せない、視界も犯されそうでままならい。万華鏡はビースとか入れるから綺麗なのに…そんな呟きは自分の中で消えてしまった。




(——本当、死を覚悟するしかないかも)

菊花はそんな事を考えながら、白い羽織りものを脱ぎ抜刀した。頭脳戦か実力行使か、もうそんなの関係無い。




((本能で戦ってやる))