墓石にセクシーに座り込んでいるのは、「玖珂 麗子」さん。名の通り麗しい女性です。そして再び言わなくても良いだろう、正真正銘玖珂君のお母様だ。
……ていうか、
「菊なんて辛気くさいもんじゃなくて、薔薇持って来なさいよ薔薇」
「馬鹿かぁあああ?!モラルと常識で考えて下さい!!」
「それより貴方は誰なのよ」
「人の話を聞いてく下さいよ!!!」
な、何なんだ…。この人本当に市太郎さんの奥さんなのか?そうなのか?ていうか、よく結婚にまで持ち込んだと思うよ…。
う、うぅむ……世の中解らないことばかりだ。
「私は高村 菊花です。——玖珂君とは同じ高校でして…」
いやぁ、真に不本意ですけれど。それを聞いたお母様の麗子さんは私を品定めするように見つめてくる。
「もぉ〜!私の美しさがただただ引き立つわ〜〜!!」
「何なんですかアンタ」
思わずツッコミを入れずにはいられなかった。いやいや、やっぱりこの方は玖珂君のお母様だ!!
『テメェの地味さ加減が俺の美しさをただただ引き立たせるだろう?』
何故——あのニヤリとした微笑みが今ここに浮かび上がるのかはスルーした所で私は再び麗子さんと対峙したのだ。
「で、その高村さんが私に何か御用?
——それとも、物の怪関係かしら?」

