殺伐とした空気がこの空間を取り巻く。
「……わ、かっ…」
鏡子と白の苦しげな声が響き、菊花は追い打ちをかけるようにまたもや縛り上げる。そして鏡子を抱き寄せ、顎を掴む。
「——鏡子を離せ!!!」
正影の鋭い声が響き、彼は炎を纏った刀を構えて千影に飛び乗るのだ!正影は一瞬浮かんだ雑念を追い払い、ただ「大槻」を助けることだけを考えたのだ。
そうしなければ——負けてしまいそうで恐いんだ。
(——何に?)
そんなことを自問自答したくない。
「……玖珂の名に懸けて、貴様を滅してくれる!!」
正影はそのまま菊花に突っ込むのだが、予想していた通りに西洋の妖怪がやって来るのだ!
ホムンクルスは鉄扇、吸血鬼は新たに短剣を構える。
「「菊花には指一本触れさせない!!!」」
明らかに「影」の力が放出されるが、俺は対になる存在。お前等とは格が違ェんだよ——
「一発で終わらせてやるよ」
正影は刀を口で加え、懐から紫色の札を取り出す!
「"玖珂正影"の名の元に!!悪しき物の怪を封じ込める、紫の封印を!」
正影がそう叫ぶと、紫色の札は光り出し——奇妙な触手のようなものが伸び、妖怪を捕らる。
「!?」
「な、何だ——力がっ、」
——これは封印呪術だ。妖怪限定だが、効果は覿面のはず。
次なる攻撃をしかけようとした瞬間!
(——バサバサッ…)
そこには羽音が響いた。
——宙には何故か、半蛇の姿の菊花にカラスの羽根が生えていた。

