鏡子の断末魔を聞きつけた俺達は井上の風の精霊によって——その場に辿り着いた。


だが、そこは——






「なにっ——これ、」


穂積の震えた声が響く。龍星は息を飲み込みこんだ。

そこに広がっていたのは俺の「家族」が血に染まり上がって——粘り気のある海が広がっているのだ。

そして——見た事も無い、おぞましい姿をした妖怪が長い髪で鏡子と白を縛り上げている。




絶句。本当に人間は驚くと声すら出て来ないのだ。だが、惚けている場合ではない。

あの蛇の物の怪は紛れも無い「美鈴」ちゃんでその背後にいるのは、先ほど萩原と井上が戦っていた西洋の妖怪だ。



(——そして、大槻からは厄払いの神としての本性が露になってきている)



「さっきぶりだね、










——玖珂君?」




その姿で、あいつの声で、俺の名前を呼ぶな。

脳裏に浮かんだのは、薄幸そうだがいつも笑っている女の顔だった。地味なはずなのに、いつも光に埋もれそうなのに、なのに——なのにどうしてこんなに醜くなったんだよ菊花。



「——ふふっ、みんな集まった。集まった」


ケタケタケタケタケタケタケタケタ——…