「この化け物ぉぉおお!!
——聖なる鏡、悪しき邪な心を崩せ!!!」
途端に鏡自身が光り出し、光の筋が私を捕らえようとする——
だが、菊花は口端を上げて微笑む。その瞬間、菊花の長い髪が蛇のように畝って——呆気なく鏡子と白を捕らえ、首に緩く巻き付いた。
「 ばーか 」
私は影使い。光さえあれば、何でも出来るんだよ?
鏡子ちゃんの技はあの鏡で私の精神状態をまたもや壊そうとしたに違いない。鏡は真実しか映さない。
——だけど、私は心までも鋼鉄に武装しているんだ。
そして、菊花は広げた手を一気に握った。そこに響くのは幼い断末魔。その断末魔を聞いて物の怪は怒り、神も怒る。
(さぁ、"みんな"本性を見せて?)
「この化け物ぉぉおおお!!!!!!!」
大槻様は怒り、曝け出された美しいお顔が歪む。だが相変わらずその青い瞳は美しい。
残酷だよ。全くもって残酷だ。思い出が裏切ってくれないかと私は願うばかり。
その瞬間大槻様の胸元が光り出し——宝玉の持つ、黄金の光が露になるのだ。怒れ、憎め、もっともっと憎め、憎悪に染まれ——
"あの時"みたいに。
そうすれば私はもっともっともっともっと、"醜く"なれる。強くなれる。強欲に貪欲になる。

