立ちこめる炎の中に玖珂正影は——真っ赤な女物の着物を着用し、白粉をした顔に赤い…どこかの民族のようなメイクをしていたのだ。


その姿は本当に物の怪を彷彿をさせ、周りの炎たちが立ちこめるせいか——まるで閻魔大王のような姿をしているのだ。




そして——今まで正影の腕にくっついていた蓬莱は擬人化をし、龍星と穂積の怪我の様子を診ている。




「…お前は《玖珂の若頭》か?」

「そうだが。——あんまり俺を舐めない方が良いぞ?」


ニヤリと笑う正影に苛立を覚える西洋の妖怪は一気に狂気に満ちた瞳をし、駆け出した!



「——お前、キライ」

ライアンは爪を獣のように生やし正影を引き裂こうとするが、ひらりと蝶のように避けつつ——


飛び蹴りを仕掛けて来たリチャードを「不死鳥」で薙ぎ払う。



「安心しろ——俺もお前らのこと大嫌いなもんで!」



そして、炎を帯びた「不死鳥」はまるで生き物のようにまたもや攻撃を仕掛けて来る西洋の妖怪を炎で縛り上げるのだ。



(……バカだな。火はまた火を加えると力を増すんだよ)


このような光景は——初めて菊花と出会った日のことを思い出す。俺は懐から赤い札を取り出し、奴らに翳すのだ。



「——離せ!下ろせ!お前なんか菊花に殺されちゃえば良いんだぁぁああ!!」


「黙れ、吸血鬼」


王子のような容姿をした吸血鬼は牙を剥き出しにして、俺に対抗をするが。この刀は神の力を持つのだ。そう簡単に抜け出せれない。


「くっ——!!人間の癖に生意気な……!お前みたいな餓鬼、菊花が手に掛けなくとも俺が殺してやる!」



——ガッ!!


「っ——?!」


正影はその長い足でホムンクルスを蹴り上げて、冷ややかな瞳で見下ろした。



「——テメェ等の"魑魅魍魎の主"は何をしようとしてんだ」

「誰が答えるやるもんか!」