吸血鬼・ライアンは血で汚れた口許を腕で拭う。


「…うげぇ、このニンゲン達美味しい血してないよ〜」

「それは災難だったな」


ホムンクルスのリチャードは鉄扇を懐に収め、人間二人を見下ろした。


「不味かったけどーバッチリと頂いたから♪」







青い蝶がひらりと一匹二人の目の前を通り過ぎる——だが、菊花が言っていた通り美し過ぎて気持ち悪い部分があるのは確かだと思うのだ。

リチャードはさんざめく竹林を見渡して、歩き出そうとした。


「——早く菊花の所に行くぞライアン」

「アイアイサー!早く終わらせて、ご飯食べた〜い」


ライアンも自分のマントを拾い——龍星の腹に蹴りを入れたのだ!!!




「お前大嫌〜い。弱い奴がでしゃばるなっつうの〜」


きゃははっ、と少女のような笑い声を上げたライアンは次こそその場を離れようとした。







だが、





(——炎斬・地獄の包囲網)



歩み出した二人の周りには火柱が現れたのだった。そして、とてつもない"光の力"が放出されていた。




「——ちっ、面倒な」

「やんなっちゃ〜う」



リチャードとライアンは新たな参戦に溜め息をつきながら、振り返ったのだ。






「安心しろ。





——まとめて地獄に堕としてやんぜ?」



そこに笑うは妖艶な陰陽師であった。