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——龍星は飛び回し蹴りをホムンクルス・リチャードに喰らわそうとするが、軽々と避けられ腹に一発蹴りを決められてしまった!
だが龍星はその反動を利用して、拳に霊力を込めて地面についた。そのまま上手く受け身をとる。
(——チッ、埒が明かねぇだろう)
休んでいる暇など無い、ホムンクルスは本気で俺達を潰そうとしている。殺気が尋常なものじゃない。
そうこう考えているうちに黒を纏ったホムンクルスは駆け出し、銀色の鉄扇で俺を切り裂こうとする!
「死ねぇええええ!」
(——リュウセイ?)
その声と共に鈴の音が聞こえてきた瞬間、俺は反射的に足を蹴り上げて鉄扇の動きを封じた。
若干足が切れたような気がするが、そのまま奴の横腹を蹴り飛ばす!
(…俺ぁ、まだお前に伝えていないことがあるんだ)
……吹き飛ばされたホムンクルスはのっそりと起き上がる…。その姿はどうしてだが、化け物が生まれる瞬間のようにおどろおどろしいものを感じた。
「——偽善者か、お前」
月を味方するように、ホムンクルスは言い放った。
「…言っている意味、解んねぇけど」
「そのままだ。——本当は"邪"な存在の"蛇"を養うとは、お前は馬鹿か?」
(——ブチッ)
竹林のさんざめく音の中で龍星は本能に任せてホムンクルスを力の限り殴った。
タラリと口端から血液が流れるが、奴は歪めた笑いを浮かべるだけ——

