一気に駆け抜ける瑠璃丸は鉈を振りかざしながら、義影に飛びかかったのだ!!



「……何が陰陽師だ!!」



——ガシィイン!!!



義影は錫杖でその鉈を受け止めて、ニヤリと笑ったのだ。儂をあまり甘く見ると痛い目に遭うぞ。





(……聞コエテ来ル、"邪"ナ声ガ…)


瑠璃丸は完璧に物の怪に変化(へんげ)していた。——獣、それよりも夜叉という言葉がしっくり来るのだ。

弾かれた鉈は宙を切り、にやにやと嫌らしく笑うこの男が憎らしい——憎い。



「馬鹿も休み休みにしろ——。儂と貴様の力は一目瞭然」


義影の後ろに佇んでるように、ゆらゆらとし、生臭い血の匂いを放出させていた物の怪は人間の声とは思えない声が笑うだけだったのだ。黒い影のようで霧のような姿で外形はひたすら醜いとしか言えない。

大槻もその醜い姿には眉を潜めて、着物で鼻もとを隠してしまう。だが、この物の怪から流れ出す妖気は尋常ではない。箍か外れたような、言葉では言い尽くせないのだ。



(——瑠璃丸よ、ごめんなさい)





















——ザシュッ!!!!!!



私の目の前にある光景が幻と思わせて。