私の背後を照らす満月の光と竹林の香り、






視界の端に見えた、青い蝶と「竹の花」だったのだ。










(——ドクンッ)



耳に鳴り響く絶望の「ナニか」。それは世界を崩してしまうのか、この鼓動が続いてしまったら壊れてしまいそうだ。

拳を握りすぎて白くなっている。一体どうしたら良いよいうのだ。






『だが、あの男は大層美しそうじゃないか。それこそ疫病神の類いに捧げたらこの地も少しは安泰になるのでは』






花びらの行方など誰も知らない。


下衆で下品な笑い声が耳に響いて、唇を噛み過ぎて血が流れ出したのにも気付かなかった。

鉄の味が口に広がり、何故か頬に涙が流れていたのは何故なんだ。




(——竹のように私も死ぬのか、)






竹は一斉に開花して枯死するのだ。

だが、名残惜しい。私は頑張ってここを管理していたものにな。我が子を持った気分だったのに。


皆咲いて死ぬか。だが、そういう人生も悪くないものだ。




瑠璃丸は力なく笑いながら、お茶を廊下に置いてとぼとぼと歩き出した。



(——私は何の為に、生まれ死ぬのか)