——そう、神様は人間なんぞになろうなどとは思っていなかった。


(その健気な笑顔が愛おしくて、)





だけど、貴方の前だけでは「一人の女」で居たかっただけなのです。《目に見えないなにか》が人間の男に恋をするのなど愚かなことだ。


奴らは短命。故に愚かである。

"大槻"は生まれながらにして神であった。もう気がついていれば神であったのだ。定義など何もない。



ただ、それが自然の摂理と一緒だっただけの話だ。




(瑠璃丸——…お前は美しい、)




健気に働き、笑顔が咲く瞬間は私も嬉しかった。誰にでも優しく、家族の為に働いて。

私は見ているだけで良かったの。ただ、それだけだったのにね——











私はお前さんを愛してしまったんだ。













「…大槻様、この竹はどうすれば良いのですか」

「そうさね。笹湯にでもする?」

生い茂っている竹林は今日も騒々しい。だけど、それが心地いいのだ。柔らかく、そのざわめきは癒しをもたらしてくれる。