射的にて、くまさんに狙いを定める植木は…
ふと、頭に菊花の姿が掠めた。
あれ——…利枝と栄子が居るなら、なんで高村は居ねぇんだ?
(……やっぱり、あの一年と居るのか?)
「あれ、お前等高村と一緒に居ネェのか?」
「あっ、菊花なら用事だってさ。あの娘、今年もバイトに燃えるって言ってたし」
「そうそうー菊花チャンの浴衣楽しみだったのにねー。ねぇー利枝?」
——パァアアンッ!!
見事にくまさんを当てた俺は刑部にくまさんを渡した。——…なんだ、来てないのか。
利枝は山吹色の浴衣で栄子は黒とピンクの浴衣だ。この二人とは中学が一緒だったため、浴衣変わってねぇとかぼんやりと考えていた。
そういや…高村の浴衣とか、見たことねぇかも。
(つーか、あの一年と一緒か?)
そう考え出したら、苛々してきた。
つか、腹が立って来た。
「植ちゃんどうしたんだ?そんな難しい顔してー」
「別に。俺、焼きそば買って来る」
朧げに空を見上げると、満天の星が広がっており——
何故か、狐の面をつけている黒い着物の奴と目が合った。
(視線はしっかりと交わった…)

