十字架を背負っているわけじゃないけれど、
——それでも、遠い昔のように思えて来た。
叫んでいる悲しみで体の中で共鳴するのだ。
夜明けと共に生まれ変わりたいけれど、そんな願いが叶う訳はないんだよ。
傷ついた魂が癒されることもない。
短い人生、命の中で楽しませよ。笑わせてよ。自由にさせてよ。
気配を闇に隠した少女は社の上から人々を見下ろす。
あまりにも笑顔が眩しくて手を伸ばしてしまうが、反射的に引っ込めてしまうのだ。
あぁ、歌を口ずさみながら道を歩きたいね。
気楽に生きようこの人生というわけではないけれど、夢は見てる。
『植ちゃ〜ん!マジでスッゲー!今度はあのぬいぐるみ取って!』
『お、刑部…。くまさんなんてなんつー可愛い趣味を…』
『だってだって可愛いだろう!』
『あっ、植木と刑部じゃん!』
『おっ、利枝と栄子』
『アハハッ、超可愛いしあのくまさん!』
(あぁ、なんて眩しいの——)

