魑魅魍魎の菊




「何って……。"妖術"使って、私が綾崎さんになっただけだし」




「「「「ん、んぅ…?」」」」


その場に居る全員が首を傾げながら、声を零した。えっ…な、なりすましただと?!



「馬鹿言え!!じゃあなんで噛み殺されたはずだろうが!」

「ちょっ、そんな怒らないでよ!」


頭の血管が切れたような気がした正影だがスルー。咄嗟に菊花の胸倉を掴み上げて怒鳴るのだ。


「あ"ぁ?!このクソアマ、話の主旨を言いやがれ!」

「萩原君も恐いってばー!!噛み殺されたように見えたのは私の"妖術"で実体のある幻作っただけ!」

「な、なんの為に?!そそそ、それって必要だったんですか先輩!」



ちょ、ちょっと…皆さん顔が恐いですってば…。穂積君に至っては、あまりの可愛さにお姉さんドキドキしちゃうけどさ…。



「さっさと吐きやがれこの地味女!」

「く〜る〜し〜い〜!!あぁいう質の悪い人間の邪心なんて、一回願い叶えた方が良いのよ!」





この言葉にカチンっときた正影は背景にゴゴゴォ…と真っ黒なオーラを醸し出した。







「だからって自ら殺されにいく馬鹿が居るかぁぁああ!!」


「だから幻だって言ったじゃん!」

「馬鹿か?お前は馬鹿か?!"高村菊花"という人間のまんまで突っ込んでいっただろう!」



そりゃそうだけどさー。まさか、菊花さんも"魑魅魍魎の主"と知らずに攻撃するとは思わなかったわけさよ。

うんうん。話せば解る的な手段をするつもりだったのにな…




「…菊花様は悪くありません。若い物の怪が粋がっただけです」



美鈴の言葉に「いや、全面的にコイツが悪ィ」と正影は一蹴する。だが、美鈴も引き下がれない。



「えっ、この子物の怪なの?」

穂積の純粋な質問がそこで入る。




「あっ…。蛇の物の怪・美鈴でございます。以後御見知りおきを」

「あっ、はい…。精霊師の井上 穂積です。これから宜しくお願いします」


と、互いに頭を下げる微笑ましい光景。