魑魅魍魎の菊




大蛇の上にある積乱雲が大きな雷を落とし、見事に直撃をする!




『嫌ダ、嫌ァァアアア!!!ア、アヤサキィィイイイイ!!!』




最後に最後まで暴れ出す大蛇は先ほど噛み殺そうとしていた"綾崎"に向かって牙を立てようとするが——…








「——蟒蛇(うわばみ)に秘めし"邪心"を我が"影"に取り込まん!!!」

何故だか、掌を広げて勢い良く拳を握った瞬間!!





(アレは…)



『ウガアアアァァァアアアア!!!!』




紛れも無い、







——高村菊花の技だ。

正影は咄嗟に菊花が倒れていたはずの場所を見れば、誰も居なかったのだ。何故なんだ、何故だ?!



大蛇の体から黒いオーラのようなものが抜け出し、"綾崎"の体に取り込まれ——…徐々に肢体を変貌させる。



「まさかっ——…」




「オイオイ——…嘘だろ、」







全ての視界がクリアになり、最初に現れたのは姿を変えた——高村菊花だったのだ。



厭らしく笑みを浮かべ、その体の中に邪気がどんどん取り込まれて行き…心無しか影が濃くなったような気がする。


そんな光景を穂積も四精霊も目を見開きながら見つめる。







「——…菊花様」


そんな不可解なオーラを放つ菊花に近づいたのは、麦わら帽子を外して跪いた美鈴だった。



「……力が及ばなくて、申し訳ございません」

「頭を上げな、美鈴」


菊花はサイズの小さくなった蛇を掌に持ち上げて、苦笑する。全く…人間の感情とは、動物をも変貌させるから面白く無い。






「どういうことだ、菊花」


耳に聞こえて来たのは、玖珂の若頭の固い声。





「さっきの先輩は…どうした、」